この記事は、山本かじの十割そばを食べた感想を書いています。

国産のそば粉だけでつくられた真っ当な十割そば。塩もいれられていません。
艶のあるのどごしは、まるで手打ちの軽快さ。
粋といいたくなる軽妙な口あたり。
食通で有名な、きむずかしい文豪も「うむ」と納得してしまう十割そば。
完で璧な十割そば、ほかの十割そばを食べることができなくなっちゃうかもしれない魔力をもちます。
そばをゆでたお湯もそば湯として飲めます。
ねっとりとした口あたり、栄養たっぷりといいたくなる濃度。
国産のそば粉をつくっています。二人前でお値段は税込550円ほどです。
山本かじの十割そば実食レビュー

そばのうえに、そばをのせられるほどに、どっしりとしています。
ところどころに蕎麦の実の外皮がちりばめられています。
純白ではなく、ポリフェノールなど健康によい栄養をたっぷりふくんだ素朴な色です。
そばの角は、熟練の木工職人がていねいに研磨したように柔らかい手触り。

そばの長さは、めんつゆにつけやすい長さです。
そばそのものの口あたりは、野暮さなく、空気をのせたように軽い舌ざわり。
まるい角だとおもい、すすりました。けれども、口のなかで感じたそばの角の印象は、定規ではかったように直角にぴッと切りたっています。
十割そばを洗ったいつもの水道水が、どこか有名な山脈の井戸水のように澄んだ香りを放っているではありませんか。
蕎麦の香りは、水の匂いすらも清潔なものにしています。
北海道のきびしい気候で磨かれたそばの実から発せられる気体は、おしつけがましくなく、いやみがなく、それでいて、雪が解けた小川を流れる清水のような清潔さ、摩周湖にかかる霧のような冷涼さをもっています。
磨きぬかれた蕎麦の香りは、峻烈な崖に咲く白い花のような気高い風格すらも感じるのです。
蕎麦を噛む、十割そばの中心部は、そば粉をねってつくるそばがきのように粉と粉が密集した滋味があります。
そばを噛むとしみだしてくる、繊細、精緻、素朴な味わいは、噛まずに飲むこむのがもったいないほどの俳味をもちます。
ちょいとだけ、かつおの風味のするめんつゆにつけると、かつおの風味がふくらみました。蕎麦の風味が、かつおの風味と溶けあい、舌のうえで勇ましく躍動します。
こじんてきには、塩だけでも食べられる十割そばだと思いました。

温かいお汁でも食べられます。
冷やしにあった、きびしい試練のような様相はゆるみ、ほわりとした口あたりになります。
山本かじの十割そばの作り方

たっぷりのお湯を用意し、十割そばをゆでます。

蕎麦が、お好みのかたさになったら火をとめてください。そして、鍋にフタをします。1分ほど蒸らします。

そば湯は、栄養たっぷり、副産物をこえた貴重品です。捨ててはいけませんゾ。

そして、冷水でぬめりを洗いながせば出来上がりです。
温かいお汁で食べるときも冷水で洗ったほうが、口あたりはよいです。
