この記事は、瀬川本店 稲庭うどんを食べた感想を書いています。

明治創業の老舗卸問屋が、食材を厳選、吟味して作りあげた稲庭うどん。
えらびぬかれた塩の旨味、厳選された中力粉のほがらな甘みを実感できます。
日本三大うどんの風格をしっかりともつうどんでした。
お値段は300g約600円ほどです。
瀬川本店 稲庭うどん実食レビュー

ひとの手で器用にのばされた淡く白いうどんの表面で、日光がたのしそうに踊っているように輝いています。
曲がっているところは煌めき、かさなっているところは陰翳がひそんでいます。

うどんの長さは15cmほどです。お箸でもつと、7㎝ほどになりすすりやすい長さです。
稲庭うどんは、グルテンがしっかりと結合した結果、しっかりとした歯ごたえ。
またのびにくいうどんでもあります。ゆで時間をかえることで稲庭うどんの食感をかえられます。

たまに手作りのご愛敬をかんじられるチャーミングさもあります。
人の手で丹念にのばされた稲庭うどんののどごしは極上です。きしめんにあるビラビラした食感をさらに洗練させたような口あたりです。
さらに、そうめんとはちがい、すこし幅広の稲庭うどん。その幅のおかげで、流麗なのどごしを口と歯、舌でしっかりと感じとれます。
恍惚とも妖艶とも形容できるエロティックさえも感じとれる極上ののどごしです。
稲庭うどんを噛むと、なめらかすぎる表面からは想像できないほどに、しっかりとした歯ごたえ。
ゆで時間が短いと噛んだ瞬間に、かちッと音が聴こえるほどに密度の濃い噛みごたえです。
稲庭うどんの塩分は、うっすらと塩をふったおにぎりほどに淡い塩味を感じとれます。
麺つゆをつけずとも食べられる人もいるでしょう。
そして、長崎の塩でねりあげられた白い小麦粉の甘味を舌の味蕾で実感できます。
精白された小麦の中心にある、あえかな自然な甘み。

稲庭うどんは、薬味との相性もよき。うどんに使われる薬味であれば問題なく、稲庭うどんをおいしく食べられます。
それこそ無限に稲庭うどんを食べられるとすら思います、体重のことさえ気にしなければ。

稲庭うどんは、もちろん温かいおつゆにいれてもらってもかまいません。
のびにくく、しっかりとした稲庭うどんです。

食感のつよいごぼう、味わい深い牛肉、香りたかいねぎとゴマ、そして流麗な稲庭うどん。
さまざまな食感が、一杯のなかにつめこまれています。稲庭うどんをすするたびに新しい味の扉が大きく開かれている愉しい一杯です。