この記事は、コストコで売られている鴨だしせいろ蕎麦を食べた感想を書いている記事です。
鴨の脂がしっかりと溶けこんでいるおつゆです。心地のよい鴨の脂を実感できます。
お蕎麦もほそく、軽快な口あたりです。
すすりやすい口あたり、食べやすい蕎麦の長さです。
1食のお値段は100円ちょっと。

三束の蕎麦が一袋にいれられています。そして、蕎麦の束の数だけのおつゆがついてきます。

おつゆは、お湯やぬるま湯で溶かすだけで作れます。
鴨の脂の旨味はたっぷりです。しかし鴨肉はついてきません。そこは気をつけてください。
鴨肉をくわえると、味わいがぐっと深く厚くなります。
鴨だしせいろ蕎麦実食レビュー

黒いおつゆから、鴨のしなやかで健康的な白い脂の香りがたちのぼっています。
かもの出汁とも脂ともいえる香りはあります。おつゆの表面には、微細な脂しか浮いていません。
鴨の脂の旨味はある。そして、くちびるが、しっとりと湿るほどにオイリー。
けれども、くどくなく、もたれず。やわらく、そして、はんなりと柔和。豪奢と爽快、どちらもかねそなえた脂界の侯爵といった気品があります。

鶏肉を鴨肉とかんちがいするほどに充実したおつゆの香りです。
おつゆの口あたりは、まろやか。トロミがある、それほどではありませんが、しっとりとした温柔な舌ざわりです。
かつお節など魚介類の風味はひかえめ、もしくはいれられていません。
肉厚の昆布を乾燥させた、深層海洋水のように深みのある基本のだし。
そこに清潔な醤油、ねっとりとしておらず雑味がなく澄んだ印象の醤油の風味、そこに辛口の日本酒をくわえ、砂糖をいれていない真っ当なみりんをくわえ、淡い味わいにしたてあげたおつゆ。
その基本のおつゆに、健康的なモノを食べてきた鴨の脂をゆっくりと混ざあわせたおつゆの味わいは、淡泊なれども豊満。清楚にして円満。
鴨が北の山を越えていくような強い風味、日本の調味料をあわせた匠の味わい。そして、すこしだけ熟成させた木樽の焦げたような苦みが、一瞬ちくりと走ります。

鴨肉をあわせると、濃の厚。脂の香りは、さらに気品高いものになります。
張りきった筋肉質の鴨肉を噛むと、熟しきった味わいとおつゆがしっかりと混ざりあい充実しています。

ねぎの年輪に鴨肉の豊潤なおつゆがしみこみ、ねぎの新鮮で清澄なお汁と混ざりあい、お酒が飲める極上の甘露へと転化しているではありませんか。
ひとつだけ気をつけることがあります。
鴨の脂がしっかりといれられている商品です。

はんなりとした脂ではあります。けれども、水では脂はとけません。ぬるま湯、もしくはお湯でしっかりと脂をとかしてください。

蕎麦は、かなりほそめです。
ぶつぶつと切れてしまうような野暮さはありません。ただし、雑にあつかうと蕎麦は切れます。

お箸でもちあげると、ちょうどいい塩梅で口に到達する蕎麦の長さです。
蕎麦の香りと風味は、残念ながらとぼしいです。
口あたりは楚々として流々。蕎麦はほそいです。ゆえに、蕎麦と蕎麦のあいだにたくさんの空間がうまれています。そのおかげで、口あたり、歯ざわりが軽いのです。
おつゆに蕎麦をつけたときには、そのすきまに鴨の脂が上塩梅にからみつきます。
鴨の脂はすべりがよく、清冽ともいる蕎麦の舌ざわりが、さらに滑らかに優雅になります。
何もせずとも、鴨の脂の旨味だけをのこし、蕎麦が胃に落ちていくように感じられる蕎麦のしなやかさ。
アレンジレシピ

焼きそば。
お好みの野菜とゆでた蕎麦をいためあわせ、最後におつゆをふりかけます。
焼かれた香ばしい鴨の香りが飛びたちます。

くるみだれに、鴨の脂をたして。
くるみをつぶし、そこについてくるおつをいれるだけで、信州名物のひとつである、くるみだれをつくれます。
しかも、くるみの風味だけでなく、鴨の脂の風味もかんじられる豊かなおつゆです。

納豆そば。
納豆のにおいをすこしだけ、抑えてくれる鴨の脂。
さらに、納豆の熟成した複雑な味わいを深めてくれています。

とろろ蕎麦。
淡泊なとろろと、鴨の脂の相性もよきです。とろろの味わいを自然にゆたかなものにしています。

ゆで卵の鴨のおつゆ漬け。
他人卵です。いつもの卵の味わいが、ずいぶんとふくよかに張りきったものになっています。
淡泊な白身に、鴨の潤味がしみわたっています。

他人の月見そば。
卵の黄身と鴨の脂が混ざりあった味わいは、簡朴でありながら、いくつもの食感がつみかさなった柔らかさ、媚びるように艶美な口あたり。

他人そばもできます。
鴨の脂と、卵の相性のよさは、ダチョウすら喜んで飛ぶほどにおいしいです。