この記事は、カネス製麺の播州そばを食べた感想を書いている記事です。
400円ほどで3~4人が満足する量の蕎麦を食べられます。
自然ゆたかな播州でつくられた蕎麦は、満ちたりた純朴なそばの風味を堪能できます。
ゆがいた蕎麦の表面はやわらかく、内側はさくりとした爽快な食感です。
冷でも温でも食べられる蕎麦です。
熟練した職人が丹精こめて打ち上げる「雪村そば」
播州そば実食レビュー

わびさび、禅味がある蕎麦のよそおい。
蕎麦の外皮の黒いちいさい破片は、ほとんど見えません。ていねいな仕事です。
その仕事のおかげで気品すらもただよう蕎麦です。隆盛をほこり、華麗に滅びた播州出といわれる平家のごとくすっきりとした見ための蕎麦は、清くいとみやび。
蕎麦の角は、すこしだけ丸いです。しかし、だれることなく、ぴしッと凛とした印象をうけます。

蕎麦の長さは、15cmほどです。蕎麦が濡れていると、す~っと持ちあげられる滑らかさです。
雑にあつかわなければ、蕎麦は切れにくいです。
蕎麦をすすると、つるッとした健康的な印象。蕎麦が、舌のうえにのると、ふわッと軽い。柔らかい、歯ざわり、口当たりは柔和。
こまかい羽毛が生えたように絶妙にきめこまかい軽さ。まるい軽さ、まろい口あたり。
蕎麦を噛むと、雪道を歩いたときのように、ざくッと音がひびく、蕎麦と強力粉の分子のあいだに水分がないがごとく、みっちりと密集した歯ごたえ。
ほそい蕎麦を噛んでいると、淡く、謙虚な蕎麦の風味と香りがじんわりとしみでてきます。

小麦粉のほうが、含有量はおおいです。けれども、蕎麦らしい素朴な味わいを実感できました。
ただ、つよめの麺つゆにつけると蕎麦の存在はけし飛ぶと思います。

温かいおしるにいれた播州そばと、初孫をだいた桃太郎さんぐらい柔らかい食感になります。
蕎麦の香りと風味もふくらんでいるように感じました。
かつおと昆布の出汁のなかで、蕎麦の息吹がこだましていました。